早坂暁『花へんろ - 風の昭和日記』 (大和書房,1986年)
本体価格 1300円, ISBN4-479-54037-7


作者によると「私小説」ならぬ「私ドラマ」なんだそうです。作者は松山近くの遍路道に面した商家に生まれ、
幼いころから遍路との触れ合いは生活の一部だったとのこと・・・

この書籍は、NHKで1985年(昭和60年)4月から連続7回放映された『花へんろ…風の昭和日記』、および
翌年9月から連続6回放映された『花へんろ…風の昭和日記・第二章』の脚本です。この続きの脚本は出版
されていないようです。

物語は、著者が生まれる前の大正12年、母親の青春時代から始まります。商家の一家と近隣の人々との
日常生活を舞台に、文字通り様々なドラマが展開します。第二章では作者が誕生しますが早産だった為か
言葉が出ません。心配した母親が健康を願って女三人と乳児という組み合わせで逆打ちの遍路の旅に出ます。

時代に翻弄される作者の一家をとりまく庶民の生活がユーモラスに描かれているほか、遍路を主題としている
だけあって、様々な遍路が登場します。不治の病や家庭不和のために四国を巡り続けるほかない終生遍路も
あれば、観光気分の娘遍路もあり、そのバリエーションは現代も同様だと思いました。

ドラマには、主人公の家の近くのお寺として鎌大師(53番から54番に向かう途中にあり、庵主・手束妙絹さんが有名)が
登場し、
その関係で、鎌大師は「
花へんろ一番札所」と呼ばれています。